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教育無償化、教育バウチャー、教育国債について考えてみた(中編)ー教育バウチャーって何?各国の導入事例は?各党の主張は?

こんにちは。Shiroです。

前編の記事では、教育無償化について取り上げました。

今回の記事では、関連するトピックとして、教育バウチャーについて取り上げたいと思います。

<目次>

  1. 教育無償化って何?(前編)
    • 教育無償化の定義・範囲と目的
    • 現行の教育無償化制度
    • 憲法改正と教育無償化
    • 教育無償化の財源
    • 現行の教育無償化に関するShiroの私見
  2. 教育バウチャーって何?(中編)
    • 教育バウチャーを提唱した経済学者ミルトン・フリードマン
    • 各国での教育バウチャーの導入事例
    • 日本の各政党の教育バウチャーに関する主張
    • 教育バウチャーに関するShiroの私見
  3. 教育国債って何?(後編)

2.教育バウチャーって何?

・教育バウチャーを提唱した経済学者ミルトン・フリードマン

教育バウチャーは、以前にベーシックインカム(BI)の記事でも名前が出た、米国の自由主義的な経済学者であるミルトン・フリードマンによって提唱された概念です。

彼によると、教育バウチャーとは以下のような制度概念です。

すなわち、ミルトン・フリードマンは、学校教育の場に、市場原理(生徒自身が良いと思った学校を公立私立関わらず選択できる)を持ち込むことで、教育の質の向上や教育へのアクセスの確保を目指していた、と言うことができるかと思います。


・各国での教育バウチャーの導入事例

各国における教育バウチャーの導入事例は実はそれほど多くありません。

米国での貧困層を対象とした教育バウチャープログラムや、スウェーデンやチリなどで教育バウチャー制度が導入されていますが、限定的な広がりと言えます。

その理由は不明ですが、学校教育に関して言うと、教育バウチャーは、そもそも教育無償化実現までの過渡解と位置付けられるかと思います。

クーポン発行などのコストを考えると、最初からクーポンなしで無償化にしておけば良い、という判断があるのかもしれませんね。

なお、学校教育以外での教育バウチャー活用事例としては、大阪市での低所得者向けの塾費用助成事業などもあります(所得制限があります。)。


・日本の各政党の教育バウチャーに関する主張

日本の主要政党で教育バウチャーについて言及しているのは、日本維新の会と国民民主党です。

・日本維新の会

日本維新の会は、2021年の衆議院選挙向けに作成したマニフェスト(維新八策2021)の中で、教育無償化の憲法改正案への盛り込みなどについて言及する一方、

教育 183.

教育バウチャー(塾代バウチャー)制度の導入・普及に努め、教育機会を拡大するとともに、多様なプレイヤーの競い合いによる教育の質と学力の向上を目指します 。

と教育バウチャーについても言及し、教育バウチャー制度の導入・普及を行っていくことを掲げています。

・国民民主党

国民民主党も、2021年の衆議院選挙向けに作成したマニフェストの中で、教育バウチャーについて以下のように謳っています。

3.「人づくり」こそ国づくり

部活動の費用等も勘案し、児童手当のさらなる拡充や、バウチャー制度の導入を検討します。

・教育バウチャーに関するShiroの私見

最後に、教育バウチャーに関する私見ですが、上述のとおり、基本的には、学校教育に関しては教育無償化の前段階としての政策オプションという位置付けと私は理解しています。

もはや授業料やその他費用(給食費、参考書費用、etc.)が無償化されるとしたら、そこで敢えてバウチャー(クーポン)を介在させる意味合いが薄いからです。

ただ、大阪でやっているように、学習塾費用などの補助として教育バウチャーを発行する、というのは、政策オプションとして当面は価値があると思っています。

というのは、例えばバウチャー(クーポン)でなく、キャッシュ振込みのベーシックインカム等の場合、子どもの口座に振り込まれたとして、それを親が使い込んでしまうというようなケースも全く想定されないわけではありません。

ですが、使途を限定したバウチャー(クーポン)で、本人(子どもなどの学習者)以外は使えず、また転売などもできないようにしておけば、基本的には消費されて(例:学習塾に通う、習い事に通うなど)子どもの能力を高めることになる可能性が高いからです。

そういう意味で、教育バウチャーは、学校教育というよりは、学習塾や習い事など、親の所得や資産に左右されがちな教育支出を政府が肩代わりすることにより、貧困の固定化を防いだり、少子化対策となったり、ひいては経済成長の原動力の一要素となり得る価値を有している、ということと理解しています。


今回の記事は以上になります。

後編では、教育国債について説明します。

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それではまた次回👦

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